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売り上げアップに繋がるクレーム共有の具体例

ビジネス会話術 - 売り上げアップに繋がるクレーム共有の具体例

クレームをひた隠しにする構造が出来上がっている企業と、社員一丸となってクレームの解決を図る企業では、とうぜん前者のほうが、クレーマーに狙われやすくなります。クレーム処理がうまくできない企業は、クレーマーにとってはいいカモです。


クレーム隠蔽体質の企業やお店は、組織をうまく運営していくための構造が脆弱で、長い年月で見れば廃れて消えていきます。これはさまざまな企業データとして残っています。


大きな会社で複数の部署があれば、パソコンで情報共有することができます。スーパーのような小さなお店では、もっと簡単に、朝礼で情報共有することもできるでしょう。クレーム情報の共有方法はひとつではないし、会社やお店によって最適な方法も変わってきます。自分のお店の規模や構造を考慮して、どんな方法が合っているのか見つけてください。


ここで、最近の中小スーパーでよく採用されてきた、クレーム共有方法の事例を紹介します。やり方の詳細は、私が取材したスーパーのものです。


スーパーは青果、生鮮、惣菜、日用品など、取扱商品ごとにそれぞれの担当者や担当グループが設けられています。担当者は担当商品が陳列された一角で仕事を行うため、商品に関する苦情やお客の声を一番耳にします。お客から得た改善希望の声は、特定の売り場に向けての声であっても、お店全体で取り組んだほうがより効果的なものも多くあります。こういった情報は、他の担当者にもまんべんなく伝えなければなりません。


そこでお客から頂いた声をはがきサイズのカードに書き込み、事務所内に設置された投稿ボックスに入れる仕組みを作ります。そして投稿されたカードは、事務所や社員食堂に張り出し、みんなで共有します。手書きのメッセージは、パソコンで打ち込まれたものより興味をそそり、みんなが目を通す習慣ができます。このルールを設けた中型スーパーでは、毎日10枚以上のカードが集まっているそうです。


しかし、こういったルールを作り上げても、なかなか定着しなかったというお店もたくさんあります。投稿ボックスに入るカードは多くて週2、3枚で、ほとんどの従業員がそのシステムの存在すら気に留めていないケースです。


これを打開するために、あるスーパーでは、お客の声を投稿したらポイントを与える仕組みを作りました。ポイントをためると、ボーナス時期に溜まったポイントに応じて、自店の買い物チケットを進呈するようにしました。すると、従業員が競うようにカードを投稿しだし、クレームの見える化に成功したのです。


コストはかかりますが、コスト以上の効果があったと他店でもポイント制を導入するケースが増えています。従業員同士のコミュニケーションの機会も増え職場も活気づくようです。


また、このシステムをさらに発展させ、お客に対してクレームカードを書いてもらい、成功しているケースもあります。


お客の声を従業員が拾って他の従業員に開示するのではなく、お客自身がクレームカードを記入し店頭に設置されたボックスに投函します。それを後日店頭に張り出すのです。様々な意見が寄せられます。


  • 「買い物カートをぶつけられると痛い。私は使わないので廃止にして欲しい」
  • 「仕事が終わる時間が遅いので、ゆっくり買い物できません。営業時間をあと30分延ばしてください」
  • 「豚肉が硬い」
  • 「試食を増やして欲しい」
  • 「バナナが一房だと多くて食べきれない。一本単位で売ってください」
  • 「何でこのスーパーの授乳室には電子レンジが無いんですか?離乳食を温められないじゃないですか!」
  • 「真っ赤なウインナ―を置いてください。主人が好きなんです」
  • 「青果売り場の○○という店員の態度が悪い。首にしろ!!」
  • 「ケータイの電波の入りが悪い」

店頭には、このようなお客の生の声が直筆でそのまま掲示されています。お客の意見の下には、店長や担当者からの返事も短く付け加えられており、コミュニケーションが図られています。


お店に対する意見や苦情は、面と向かって言えない人も多いでしょうが、紙に書いて投稿できる仕組みにすれば抵抗は少なくなります。名前を記入する必要もなく特定される心配もないので、言いたいけど言えないお客の意見もしっかり聞けるわけです。


言いやすい分クレームは増えるでしょうが、それをしっかり受け止め改善策を施す旨を伝えたり、改善できない理由を「店長の言葉」として返事することで、お客も納得できます。お店がお客に歩み寄る姿勢をハッキリ示すことができ、お客はお店を好きになります。売り上げアップにも繋がるのです。


この試みはお客にとっても好評のようで、なかにはお店に対する応援メッセージも寄せられます。従業員だってお客から励まされれば、お店をよりよくしようとやる気も出てくるものです。客に見られている意識が自覚できれば、苦情になりかねないうっかりミスだって少なくなります。


クレームをひた隠しにする企業とは真逆の方法でお客の心を掴み、お店全体を改善できている大成功例でしょう。クレームは扱い方次第で、お店に大きなメリットを与えられるのです。